金銭的困難に直面した際に使うかもしれないけど意外に知られていない生活保護。申請が受理されないという事は無いけれど条件を満たさないと受給がされません。今回はその話を。
生活保護とは
自治体の福祉事務所若しくは保護課にて申請及び相談をして、条件に合致すると判断されてやっと受給開始します。保護費受給の他、医療費免除(医療券方式)と必要交通費が支給される場合があります。詳しい説明については厚生労働省のWebページに委ねます。
※医療費が無料である事を強調される事が多いのですが、「ちょっと調子悪いから医者に」と気軽には行けません。保険証がないのでその度に役所に行き医療券をもらって受診する必要があります(救急の場合を除く)
また医療機関が生活保護法に基づく医療機関である必要があります。生活保護受給前にかかりつけ医がいた場合、変則的な対応ですが退職した会社の健康保険組合の任意継続保険料を支払い、3割負担で受診することもできなくはないです(その場合保険料及び医療費は補填されませんし、その運用が認められない事もあります)
条件1: 資産がない人
- 預貯金
15万円以上ある場合減額の可能性があります。また通帳等で過去の支出の指摘をされます
(使用用途又は送金した理由) - 株式、債券
預貯金と含めて換算されますが予め売却し口座閉鎖しておいた方が無難です。 - 生命保険
解約返戻金がある程度ある場合は解約を指示される事が多いです。 - 不動産
ローン残債あり……原則は売却
ローン残債なし……土地建物評価額2,300万円以内では売却しなくても良い場合があるようです。 - 家電、装飾品等
生活必需品としては資産には含まれませんが、過度に高額なものは売却指示の可能性も。
条件2: 負債(借金)の無いこと
クレジットカードやローンの残高がある場合は受理されません。その場合自己破産を選択せざるを得ないのですが、絶対に法テラスに相談してください。 法テラスでの申請の場合、収入状況により弁護士費用の減額の可能性もあります。
※インターネットで探した弁護士事務所に依頼した場合、依頼した日(受任日)に費用を全額払えず分割支払することがあります。その場合完済した日から手続をするため、その日数分破産手続及び免責申立が遅くなります。(弁護士も商売なので間違った事は言わないですが、私見ながらそれが必ずしも正しいとは限りません)
条件3: 生活に使う為の収入がないこと
- アルバイト等の収入
有っても受理はされますが、減額はされます。
また申請者が心身ともに健康な場合、ハローワーク等で就職活動する事が求められます。
(申請時の訪問調査や定期面談の際、何度も何度も指摘されます) - 親・兄弟親戚による援助の可否
申請が受理された後、住所に訪問調査として世帯全員の経歴を本人から聴取します。
(ケースワーカによってはかなりえげつなく)
また申請時に記載の親類に問い合わせ書面が届きます。親類の方々に前もって連絡した方が無難です。
条件4: 各種手当・年金等の受給資格がない、又は受給した上で基準額以下
現時点で給付可能な失業給付・傷病手当金・障害年金やその他給付金等の申請後、現在それらを受給中または給付期間満了であることがわかる事が必要です。つまり、本来もらえるはずの給付をもらわずに生活保護を申請できないことになっています。
受給後に給付可能な手当金等が確認された場合申請するよう指示されますが、受給された際はその期間に支給された保護費について遡及して返還請求されます(これが良くトラブルの原因になる)
また身体障害者の場合多くの方が障害年金を受給されていることが多いのですが、難しいのが精神障害における障害年金受給の場合です。そもそも精神障害者は治癒または寛解すると考えられているので、障害者手帳も更新制ですし障害年金の受給裁定はかなり困難です。
しかしうっかり受給裁定された場合、長期間(5年以内)の遡及額が支払われますので確実にトラブルになります。ケースワーカから申請するよう言われたとしても、近い将来就職や企業して生活保護を受けない生活があるのなら、精神障害の方は障害年金申請は後にした方が無難です(障害年金用の診断書発行費用は高額な事が多いですし)